バレンシアの青い空、「ステファン号」は行くよぉ~~

バルセロナを後に、バスはバレンシアをめざして走ります、
ああ、さようなら。サグラダ・ファミリア~~!

バルセロナの街を走っていると、バイクの数が多いなぁ、と思います。
車の間をビュンビュンとすり抜けて行きますよ、
おおらかに見えるスペイン人も、都会では案外せっかちなのかもしれませんね。

ここからバレンシアまでは368km、約5時間の走行です。

バスでの大移動については、乗り物酔いがホントに心配で、
”酔い止め”を毎日飲んでいたのですが、前の方の座席に座らせてもらったりして、
幸い気分が悪くなることも無く、スペインのダイナミックな景色を楽しむことが
できました。
この国は太陽の光が違うので、美しい風景が一段と鮮やかに映し出されます。
雲の色だって、(写真ではわかりにくいのですが、)白い雲が、
鮮やかな水色に見えたりするんです、、、↓

この辺りは緑も多く、

ときおり海が見えたりして、寝ている暇がありません。
(旅行中、バスの中では常にカーテン全開で景色を眺めていましたけど。)

この海は地中海、遥か向こうにはマヨルカ島なんか、あるのかな?

走行中、ローマ時代の水道橋が見えて来ました。
バスの窓から、遠くに見える水道橋をカメラで狙っていると、
なんと、
ドライバーの「ステファン」がバスを路肩に止めてくれたんです。
そしてバスを降りると、みんなを眺めのいい場所へと案内してくれました、
けもの道を抜けて。

ありがとう、ステファン!
君って優しいんだね、、
ぽっちゃり体形のステファンが格好良く見えました。

バスの旅では、途中、途中でトイレ休憩をとらなければいけません。
ドライバーだって、安全運転のためには休憩が必要です、
みんながお土産屋さんを眺めている間、ステファンは
つかの間の休息を楽しんでいました。

コーヒーと、甘そうなタルトのようなものをつまみながら。

僕もコーヒー大好きなので、短い休憩でもつい頼んでしまいます。
お気に入りは「カフェ・コルタード」という、ミルクがちょびっとはいったもの。
スペインのコーヒーには大きな砂糖が付いて来るのですが、
それを、こちらの人は豪快にドバっ、と全部カップに入れて
かきまぜずにキュッと飲んでしまう。

後には砂糖が溜まっているんですけどね、、、
いやなんとも粋に見えるんです、その飲みっぷりが。
美味しいコーヒーで一息ついていると、
ステファンの所へ添乗員さんがやってきた。
なにやら気分が悪くなった人が出たらしく、
スーツケースの中の何かを出したいので、
バスの扉を開けて欲しい、ということらしい。

ステファンはにこやかに返事をして、タルトを頬張りながら出て行った、
「あー、お疲れさま、ステファン。がんばれ~」

しばらくして、バスの所へ戻ると、メンバーの何人かが日陰で休んでいた。
日向はジリジリと焼け付くような暑さでも、日陰に入るとひんやりと涼しい、
でも、
やっぱりこの力強い日の光を、できるだけ浴びていたい気持ちもあって、
僕は日向に出て思いっきり背伸びをしてみた。

バレンシアの、どこまでも青い空が気持ちいい。
ステファンも両手を広げて言う、
「これが、バレンシアの天井さ、」

いや、単純に「バレンシアの空」と言ったのかもしれないけど、
そのときの僕は、天井と思い込んでいた。
(だから、なんだか空が近くに感じたりして)

バレンシアの人の頭上には、常にこの大きな青い空がある、
昼も、夜も。
「だからこの土地の人は、おおらかで優しくなれるのかな、」

ぽっちゃりステファンの笑顔をながめながら、
そんなことを考えていたのでした。
「さあ、目的地までもう少しだよ、 Animo、 ステファン!」