円形脱毛症の原因 〜2〜

『アトピー素因』

アトピーはアレルギーを起こし易い免疫的な傾向を持つ状態を示します。
免疫は普通は細菌やウイルスから体を守るために働きますが、アトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)を持つ人は、それが過剰に働いてしまいダニ、ハウスダスト、スギやイネ科の花粉、さらには卵白、牛乳などに反応して気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎などの炎症を起こします。アトピー素因に関係する遺伝子の候補はいくつか報告されていますが、単一の遺伝子ではなく多くの遺伝子が関係していると考えられます。

円形脱毛症患者の40%以上がアトピー素因を持つと言われ、半数以上が本人または家族にアトピー素因が認められるなど、深い関連があるとされています。

『遺伝的要素』

中国で行われた調査によると、円形脱毛症患者の約8.4%に同じ症状の家族がいると報告されています。親等が近いほど発症率が高く、欧米における調査でも円形脱毛症患者の一親等の発症率は、二親等以上の家族の10倍に及ぶという結果が出ています。
双子の例の報告もあり、そのうち一卵性では55%が二人とも円形脱毛になったのに対して、二卵性では全て一人のみであったことから円形脱毛症の原因としては、環境の影響より遺伝的要因が関係する可能性が高いと考えられています。

ここでもう一度、環境の影響が大きい「ストレス」との関係を考えてみましょう。精神的ストレスがあるとT細胞系リンパ球の機能が変化することから、ストレスが中枢神経を介して免疫に影響を及ぼし、円形脱毛症の自己免疫反応を引き起こすことも考えられますが、円形脱毛症患者の約80%は遺伝的要素が優先し、ストレスが全く無くても円形脱毛症が起こるようです。

また、円形脱毛症の人の約半数弱に、アトピー性皮膚炎、アレルギー性喘息アレルギー性鼻炎、結膜炎などのアトピー疾患の合併が見られ、円形脱毛症患者はアトピー疾患になる可能性も高いということのようです。

『出産後の女性ホルモン値の変化』

妊娠から出産後における女性ホルモンの減少も、原因の一つと言われています。
妊娠中、体内の女性ホルモン値は通常の100倍以上に増加し、出産すると一気に通常値に戻ります。女性ホルモンには発毛促進の作用があり、減少すると抜け毛につながることから、毛周期との関係で産後3~4ヶ月後に抜け毛が多くなりす。
多くの場合は頭髪全体のボリュームが減る産後脱毛となりますが、場合によっては円形脱毛症として現れることがあります。
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円形脱毛症の原因

『強いストレスを受けると円形脱毛症になる』

多くの方がそう思われているのではないでしょうか?

精神的ストレスを受けるとそれに抵抗するために交感神経が活発に動きます。
交感神経は、心肺を早く動かしたり体温を上げるなどの働きがあり、身体がストレスと闘う準備をしてくれます。

この時、ストレスが強すぎたり長く続いたりすると交感神経に異常をきたします。結果、血管を収縮させ、頭部への血流が悪くなり「自己免疫疾患」や「内分泌異常」などのさまざまな疾患を誘因することもありますが、この場合のストレスはあくまでも誘因のひとつであり、直接の原因ではありません。

では、原因はなんでしょう……?

円形脱毛症の原因として考えられるものには大きく分けて、自己免疫疾患、アトピー素因、遺伝的要素、さらには出産後の女性ホルモン値の変化などが上げられますが、多発型より重度の円形脱毛症の原因として、近年の研究で確定的になったのは(臓器特異的)自己免疫疾患であるということです。

これは、毛髪の毛根組織に対して免疫機能の異常が発生するもので、疲労や感染症などの肉体的・精神的なストレスや体質的な素因によって誘発されると考えられています。

※円形脱毛症は、Tリンパ球が毛根を異物と間違えて攻撃してしまうために発症すると考えられており、その激しい攻撃により毛根が傷んで、元気な毛髪でさえ突然抜け落ちてしまうのです。しかしなぜその様な異常が生じてしまうのかは、まだ明らかになっていません。

また円形脱毛症は、橋本病に代表される甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、あるいは重症筋無力症などの各種自己免疫疾患と併発する場合があります。特に、甲状腺疾患は約8%、尋常性白斑は約4%の患者が、円形脱毛症を併発していると言われています。

『自己免疫疾患とは』

人間の身体は本来、外界からの異物や、自分の体の中に侵入した有害な異物や細菌、ウイルスに対して、リンパ球が抗体を生み出して外敵を攻撃したり、直接排除するように働きます。
しかし免疫に何らかの異常があると、自分の体や組織を異物のように認識して自己抗体やリンパ球を作り、自分の体を攻撃し破壊してしまうことがあります。
このように、自分の体を構成する成分に対してアレルギー反応を起こすことを「自己アレルギー」と呼び、この様な状況下で、ある病態が生じた時、これを「自己免疫疾患」と呼びます。
自己免疫疾患は、最近、増加の傾向にあります。原因不明とされていた疾患が解明され、この範疇に入るものが多くなっていることと、生活環境の急激な変化(複合汚染、食生活の変化、ストレスの多様化、輸入食品及び輸入感染症の増加等)も原因とされています。

多発型円形脱毛症 (筆者本人)
多発型円形脱毛症
(筆者本人/2008年頃)
多発型円形脱毛症 (筆者本人)
多発型円形脱毛症
(筆者本人)

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