『強いストレスを受けると円形脱毛症になる』
多くの方がそう思われているのではないでしょうか?
精神的ストレスを受けるとそれに抵抗するために交感神経が活発に動きます。
交感神経は、心肺を早く動かしたり体温を上げるなどの働きがあり、身体がストレスと闘う準備をしてくれます。
この時、ストレスが強すぎたり長く続いたりすると交感神経に異常をきたします。結果、血管を収縮させ、頭部への血流が悪くなり「自己免疫疾患」や「内分泌異常」などのさまざまな疾患を誘因することもありますが、この場合のストレスはあくまでも誘因のひとつであり、直接の原因ではありません。
では、原因はなんでしょう……?
円形脱毛症の原因として考えられるものには大きく分けて、自己免疫疾患、アトピー素因、遺伝的要素、さらには出産後の女性ホルモン値の変化などが上げられますが、多発型より重度の円形脱毛症の原因として、近年の研究で確定的になったのは(臓器特異的)自己免疫疾患であるということです。
これは、毛髪の毛根組織に対して免疫機能の異常が発生するもので、疲労や感染症などの肉体的・精神的なストレスや体質的な素因によって誘発されると考えられています。
※円形脱毛症は、Tリンパ球が毛根を異物と間違えて攻撃してしまうために発症すると考えられており、その激しい攻撃により毛根が傷んで、元気な毛髪でさえ突然抜け落ちてしまうのです。しかしなぜその様な異常が生じてしまうのかは、まだ明らかになっていません。
また円形脱毛症は、橋本病に代表される甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、あるいは重症筋無力症などの各種自己免疫疾患と併発する場合があります。特に、甲状腺疾患は約8%、尋常性白斑は約4%の患者が、円形脱毛症を併発していると言われています。
『自己免疫疾患とは』
人間の身体は本来、外界からの異物や、自分の体の中に侵入した有害な異物や細菌、ウイルスに対して、リンパ球が抗体を生み出して外敵を攻撃したり、直接排除するように働きます。
しかし免疫に何らかの異常があると、自分の体や組織を異物のように認識して自己抗体やリンパ球を作り、自分の体を攻撃し破壊してしまうことがあります。
このように、自分の体を構成する成分に対してアレルギー反応を起こすことを「自己アレルギー」と呼び、この様な状況下で、ある病態が生じた時、これを「自己免疫疾患」と呼びます。
自己免疫疾患は、最近、増加の傾向にあります。原因不明とされていた疾患が解明され、この範疇に入るものが多くなっていることと、生活環境の急激な変化(複合汚染、食生活の変化、ストレスの多様化、輸入食品及び輸入感染症の増加等)も原因とされています。