『温めること』
美容院に行こうと思うのは、どんな時でしょうか?
髪を切りたい、パーマをかけたい、それは勿論です。
面接があるから
友人の結婚式が近いから
もうすぐ旅行に出掛けるから
毎日を気持ちよく過ごすために。
日常から、ほんの少しの非日常へ出掛けるために。
”美容院に行く”ということは
その先の、明日に向けての準備でもあるのではないでしょうか。
きれいになって、その先に続く素敵な物語を想像しながら
期待しながら美容院のドアを開ける。
私たち美容師に求められる事はとてもおおきなこと。
お客様と一緒に、明日に向けての想いを温めること
そしてかたちにすること。
以前、歌舞伎町に勤める女性が美容師を訴え、裁判になったことがあります。
技術の問題よりも気持ちの問題が大きいのではないかと感じます。
私たちはお客様の想いを感じ、温め、かたちにする。
技術だけの仕事ではないのだと思います。
このことを忘れてはならないと思います。
毎日サロンに立って思う事は、一人ひとりのお客様の
今の気持ちを感じとらなければ何も始まらないということ。
髪に鋏を滑らせるのはお互いが納得してから。
だから、カットクロスを外す時、嬉しそうに
少し照れくさそうに鏡を覗き込んでいる
そんなお客様の姿を見る事が何よりも嬉しいのです。