脱毛症は自己免疫疾患の一つであり、免疫細胞の誤作動によって毛包が傷つき、脱毛が起こります。
本来「自己免疫反応」は、外部から侵入してくる細菌やウイルスなどの勝手を攻撃するために機能しますが「自己免疫疾患」は免疫系が自分自身の組織や誤って攻撃してしまう病気です。
脱毛症にも様々なタイプがあり、数ヶ月で新しい毛髪が生えてくることもあれば、何年も生えてこない場合もあり、生えてきたとしてもまた違う箇所に脱毛が見られたりと、治療の効果がなかなか出てこないこともあります。
円形脱毛症の患者さんの約16~25%に、自己免疫疾患が合併しているという報告があります。
橋本病(慢性甲状腺炎)・バセドウ病・全身性エリテマトーデス(SLE)・関節リウマチ・炎症性腸疾患などがあり、特に甲状腺自己免疫疾患との合併率が高意図されています。
さらに、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患との関係性も指摘もされています。
ですから、円形脱毛症と診断された場は、他の自己免疫疾患が隠れていないかを考える必要があります。
【消化器系の病気と脱毛症の関係性】
炎症性腸疾患(IBD)・・・クローン病、潰瘍性大腸炎は免疫系の異常によって腸管に慢性的な炎症が起きます。
セリアック病(グルテン不耐症)・・・小麦などに含まれるグルテンに対する免疫反応によって、小腸の粘膜が傷つき栄養素の吸収障害が起こります(グルテンフリーの食事に変えることで、脱毛症が改善したという事例あり)
腸内細菌叢(腸内フローラ)・・・腸内細菌のバランスが乱れると、自己免疫疾患のリスクを高めると言われています。
【内分泌系の異常と脱毛症の関係性】
内分泌系(ホルモン系)の異常も脱毛症に影響を与えるとされています。 ホルモンは全身の様々な機能を調節し、毛包の成長サイクルにも直接的な影響を与えます。
【貧血・栄養状態と脱毛症の関係性】
貧血や栄養状態の悪化は、脱毛症の重要な原因となります。
”鉄欠乏性貧血”は、脱毛に影響すると言われています。
鉄は毛髪のケラチン(タンパク質)の合成や、毛包細胞の合成に必要な栄養素です。
”亜鉛不足”は毛包の分化を障害し、脱毛が起こる可能性があります。亜鉛は免疫機能の調節や細胞増殖に関与し、毛包の正常な機能を維持するために重要な役割を担っています。亜鉛は肉類、貝類(特に牡蠣)、ナッツ類などにも多く含まれます。
”ビタミンDの不足”は自己免疫疾患のリスク増加と関連すると言われています。
ビタミンB群(特にビオチンやB12)も毛髪の健康に関わります(ビオチン欠乏は非常にまれで、通常の食事で問題なし)
タンパク質の不足も影響します。 髪の毛の主成分はタンパク質(ケラチン)であり、タンパク質が不足すると毛の成長が止まり、脱毛が増加します。
過度な減量や消化器疾患による吸収障害、慢性肝疾患によるタンパク質合成能力の低下などが影響することがあります。
もし、脱毛症が何年も長引くようでしたら、専門の医療機関で、血液一般検査、甲状腺機能検査、自己免疫関連検査など受けてみることも必要かもしれません。
